本会の趣旨
会長メッセージ
「歴史は現在と過去の間の対話である。」(E.H.カー)と言われます。歴史は、必ずしも私たちが直面する課題に直ちに解決策を与えてくれるというわけではありません。しかし、現在の問題を生み出している社会の構造をより深く捉えるには、その歴史的由来を辿ることが不可欠です。
とりわけ、私たちのこれまでの資源利用のあり方を見直して循環経済・脱炭素社会へ転換することが急務とされている時代においては、廃棄物を生み出す社会経済がどのような歴史を経てきたのかを考えることがますます重要になっていると言えます。
このような観点から、ごみ文化・歴史研究部会は廃棄物に関わる歴史や比較文化の研究に取り組んでいきます。これまでに引き続き廃棄物に関わる史料の収集や歴史的事実の掘り起こしを丁寧に進めるとともに、今後は学会外の研究者との交流も図っています。歴史や文化を考えることを通じて、廃棄物や資源を巡るアクチュアルな課題を捉え直し、「実学を指向する総合学会」である廃棄物資源循環学会の活動に貢献していきます。
関心のある方のご参加をお待ちしています。
代表 古澤 康夫(東京都環境公社 東京サーキュラーエコノミー推進センター アドバイザー)
研究部会発足時会長メッセージ
本会は、廃棄物にかかわった諸先輩の足跡をたどることなどを主目的に、 「ごみ文化研究会」として2001年に設立し、その後、2003年からは廃棄物資源循環学会の研究部会として活動してきました。それと同時に対象も広く 廃棄物に関する歴史、文化を探り、これまで知られて来なかった事実や諸先輩の苦労を記録に留め、また新たな角度からの見直しを図っていくこととしました。
これまで多くの方々のご協力をいただき、様々な証言や研究成果から学ばせていただきましたが、今後は一層その内容を深めたいと思っていま す。この分野にはほとんど研究者がおらず、本会の活動も、まだその端緒についたばかりであります。
しかし、廃棄物問題が、今後ますます大きな社会的課題となるにつれ、その扱いのありようが、過去も含めたその社会の文化として問い直される時が来ると考 えます。本会は、建築・土木などの技術史や経済史など、既に学問として確立し、現在社会に影響力ある存在となっている分野には及ばないまでも、そのような 場合に、正しい事実や整理された論理を提供できる存在でありたいと思っています。
少しでも関心のある方のご参加を期待しています。
松藤 康司 (福岡大学名誉教授) (2003~2022年度会長)