【総  説】

廃棄物埋立処分地におけるガス及びガス成分の移動について

――廃棄物層・土壌層を流れるガスの移動方程式とその応用――

田 中 信 寿*・神 山 桂 一*

【要 旨】 廃棄物埋立処分場におけるガス及びガス成分の挙動を理論的に解析することは,埋立ガスの制御,埋立ガスの回収利用,埋立地の早期安定化,あるいは土壌層内も含めた揮発性有機化学物質の除去などの諸技術の基礎として重要であり,今後これらに関する研究が活発になると考えられる。そこでこれまで豊富な研究成果のある多孔体内の流れ理論を参照しながら,廃棄物層内や土壌層内におけるガス及びガス成分の移動基礎方程式を展開した。これらの式系は全圧勾配による流動と濃度勾配による分子拡散を取扱い,層内の間隙がガスの平均自由行程程度まで小さくなる領域まで適用できる。さらに,その式系の適用限界も明らかにした。また,廃棄物層における透気係数kや屈曲係数ζの実測例,さらに基礎方程式系の適用研究事例などについて整理した。

キーワード: 廃棄物埋立,埋立ガス,ガス流動,ガス拡散,多孔質の流れ

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.1, pp.46-58, 1991

原稿受付 1990.10.30

* 北海道大学工学部教授