【報  告】

廃棄物分野における世界銀行の途上国協力

――その経験,学んだ教訓,今後の戦略――

カール・バートン*

【要 旨】 世界銀行は1974年から途上国の都市清掃サービスを改善し拡充するための資金援助を行ってきており,1988年までに協力した国は40ヶ国,プロジェクト数では71,総投資額は5億米ドル以上になっている。いままでの世銀の廃棄物プロジェクトは,都市開発プロジェクト等の総合プロジェクトの一要素として収集機材の調達を組み込んだものが殆どであった。しかしこうしたハード主体のプロジェクトでは効果も小さく問題を残すことが評価反省の結果明らかになった。より効果的なプロジェクトとするためには,廃棄物管理の専門家を投入して,基礎資料の収集,プロポーザルの準備に十分な時間をかける必要があるし,また技術面のみならず清掃事業の組織・制度や財政基盤の強化も欠かせない。このように多くのことが明らかになったが,今後に残された課題も多い。そこで世銀では,清掃サービスの料金設定戦略等の重要テーマについて応用研究を集中的に進めている。

キーワード: 廃棄物,途上国協力,組織開発,世界銀行,戦略計画

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.1, pp.59-65, 1991

原稿受付 1990.10.15

*世界銀行上級環境専門家,博士

注: この論文に述べられている意見は,筆者個人のものであり,世銀を代表する意見ではない。

(訳: 桜井国俊,酒井 秦)