シュレッダー廃棄物の有害成分と適正処理
酒 井 伸 一*・小 川 眞佐子*・高 月 紘*
【要 旨】 シュレッダ−廃棄物とは,廃車,廃家電等をシュレッダーで破砕し有価物を回収する際に発生する不要物の呼称で,プラスチックを主体とする混合廃棄物である。シュレッダー廃棄物について含有量試験及び溶出試験を行った結果,ノルマルヘキサン抽出物が数%程度(場合によっては5%以上)含まれ,米国の溶出試験方法であるTCLPで得た溶出液からはPb,Cd等が高濃度で検出された。廃車,廃家電量の増大や製品材料の変化等に伴いシュレッダー廃棄物の発生量は急増する一方であり,処分地容量の逼迫等からもシュレッダー廃棄物の減量並びに無害化のための対策は急務とされる。そこで,シュレッダー廃棄物の完全燃焼と酸性ガス,ダイオキシン類等の排ガス処理,廃熱回収・発電利用,場合によっては残渣の溶融固化を行うシステム構想を提案した。現在,製品の設計段階からの見直しや適切な処理システムについて研究開発が各方面で進められつつあるが,その実現に向けては社会的,経済的な課題を克服し,コストの適正負担のためのシステムを構築することが重要である。
キーワード: シュレッダー廃棄物,廃車,溶出試験,有害物質,適正処理
廃棄物学会論文誌,Vol. 2, No.2, pp.33-42, 1991
原稿受付 1990.12.21
* 京都大学環境保全センター