【特 集 :リサイクル・資源化――経済学的視点から――】

廃棄物問題とリサイクル政策:課題と展望

安 田 八十五*

【要 旨】 最近ゴミ問題が極めて重要な社会的問題となっている。この主たる原因は産業構造やライフスタイルの変化にともなって,ゴミの量が急激に増大し,それにゴミ処理能力が追いつかないからである。具体的には,東京都では区部の家庭から出る一般廃棄物最終処分地の不足という問題となって現われてきている。東京都の唯一の一般廃棄物最終処分地である東京湾中央防波堤外側処分場は,このままで行けばあと2,3年の寿命しかない。ゴミの最終処分場不足を生み出したのは,この数年のゴミの急増である。使い捨て・ポイ捨て型のツケが回ってきたのである。大量生産→大量流通→大量消費,そしてその結果としての大量廃棄という現代の経済社会システムが完全に行き詰まりを見せてきており,ポイ捨て型社会からゴミゼロ型リサイクリング社会への経済社会システムを大転換しなければ,ゴミ問題の根本的解決は不可能というところにまで来てしまったわけである。

キーワード: 廃棄物問題,リサイクル政策,ゴミゼロ社会,デポジット・リファンドシステム,リサイクル法

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.2, pp.99-104, 1991

原稿受付 1991.2.12

* 筑波大学社会工学系助教授