【特 集 :リサイクル・資源化――経済学的視点から――】

空き缶回収事業について

広 田 宣 治*

【要 旨】 空き缶の散乱は大きな社会問題となってきており,各自治体の環境対策の大きな部分を占めている。土浦市は空き缶回収事業として昭和61年6月から回収機を主体とする空き缶回収事業の「つくば方式」を採用している。「つくば方式」とはどんな空き缶でも回収奨励金の対象となるオープン方式であり,回収に経済的刺激とその波及効果が出るように宝くじ方式を採用たものである。「つくば方式」に一部改良を加えた土浦市での回収実績は初年度で57万缶,その後90万缶前後,1日当り2,400〜2,500缶と定着し,予想以上の成果を上げている。事業経費は平成元年度には1缶当り3円であり,売却実績は経費の1割程度となっている。しかし,回収機の老朽化に伴う更新,回収機を増やせない,コスト軽減などが問題となっている。環境問題やリサイクル運動に関心を向けさせたという事実がこの事業の成功ではなかろうかと思われる。

キーワード: 空き缶の散乱防止と資源化

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.2, pp.105-107, 1991

原稿受付 1991.4.1

* 土浦市生活環境部 環境衛生課長