【総  説】

生物生産系廃棄物の有効利用について

堀 津 浩 章*

【要 旨】 近年,国民生活の向上と産業活動の活性化に伴い多種多量の廃棄物がどんどん放出されている。そのなかにはまだまだ充分に使用可能な資源であるにも係わらず,ただ不便さ,邪魔物,採算等の理由からだけ判断され,廃棄されているものも少なくない。極端な言い方をすれば,このままの状態が続くならばやがて国土の狭い日本では廃棄物で埋まってしまうかもしれない。例えば,わが国の農産一般廃棄物は年間1億2000万トン,アメリカでは実に4億トンが排出されているとも云われている。そこで,ここでは特にこの膨大な農産一般廃棄物と共にそれと関連の深い林産一般及び産業廃棄物,畜産産業廃棄物等,いわゆる生物生産系廃棄物について,その有効利用法を述べる。

キーワード: 農産廃棄物,林産廃棄物,畜産廃棄物

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.2, pp.131-142, 1991

原稿受付 1991.3.5

* 岐阜大学農学部教授