【行政報告】

廃棄物処理に関する新しい法制度の下での産業界の対応

田 中   勝*

【要 旨】 廃棄物を適正に処理するためには,法制度が適切かつ円滑に運用される必要がある。しかし最近の廃棄物量の増大,処理施設の不足,不法投棄,環境および健康への影響などに対して,廃棄物の分類,処理責務および罰則などに関する制度面の見直しが求められている。そのような中で,厚生省等から「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案」が国会に提出されている。一方では,限界に達している現在の廃棄物処理・処分対策を見直すために,生産・流通・消費の各段階までさかのぼって考える必要性が指摘され,再資源化と有効利用による廃棄物の発生の抑制と環境保全を図ろうとするねらいから,通産省等から出された「再生資源利用促進法」が法律となった。二つの法案の重要なポイントを指摘しながら,それらの概要を説明し,新しい法制度の下での産業界に課せられた課題と問題点について述べた。

キーワード: 廃棄物処理法改正案,再生資源利用促進法,法制度,特別管理廃棄物,廃棄物処理センター

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.3, pp.253-266, 1991

原稿受付 1991.5.16

* 国立公衆衛生院廃棄物工学室 室長