【特 集 :排ガス処理】

海外における排ガス規制の動向

鍋 島 淑 郎*

【要 旨】 近年,わが国では埋立処分場の入手難や,減量化率の高いことおよび熱エネルギー回収などの観点から,都市ごみの焼却処理率が増加してきたが,一方,焼却に伴う二次公害の発生防止の見地から,燃焼排ガスの処理も,従来からのばいじんの除去に加えて,NOx,SOx,HCl等の除去装置の高効率化が進み,さらに微量有害物質として,ダイオキシン,フランおよび水銀等の除去にも目が向けられ,例えば,財団法人廃棄物研究財団では,厚生省の委託によりこれらの排ガス処理の高効率化とコンパクト化を目指して調査研究が行われてきている。地球環境保全上から,世界各地の焼却排ガスの規制動向を調査し,その中でわが国の位置を確認し,技術開発の方向を探ることは今後,技術面での国際協力上も重要なことと考える。本文は上記の研究調査をベースに,EC等の新しい情報を加えてとりまとめたものである。

キーワード: ごみ焼却,燃焼管理,ばいじん,有害物質,排出規制

廃棄物学会誌,Vol. 2, No.4, pp.306-317, 1991

原稿受付 1991.8.8

* 玉川大学工学部 教授