【研究ノート】

ごみ処理計画のための広域圏設定に関する一考察

小 泉  明*・稲 員 とよの*・小 倉 憲 治*・川 口 士 郎*・田 崎 滋 久**

【要 旨】 現在のごみ処理の問題として,単独の市町村では経済的,効率的なごみ処理,さらには処分地の確保が困難になってきている地域も数多く見受けられる。この時,複数の市町村が協同で,つまり広域的にごみの処理を行うことが一つの解決策として考えられる。この場合,広域的に計画を行う対象地域(広域圏)の大きさが問題となる。広域圏の設定には,歴史的,地理的,社会・経済的,さらには政治的といった様々な条件が考えられるが,本論文ではクラスター分析を援用し,地域間の隣接距離が小さい地域から提携を進める方法を提案した。これは個々の地域からはじまり,全地域が一体となる迄の広域圏形成プロセスを明らかにするものである。さらに,広域圏の大きさごとのごみ処理費と輸送費による経済的評価により,ごみ処理計画のための最適広域圏の決定についてもケーススタディにより示した。

キーワード: 広域的ごみ処理,広域圏,クラスター分析

廃棄物学会論文誌,Vol. 3, No.1, pp.8-12, 1992

原稿受付 1991.5.13

* 東京都立大学工学部土木工学科

** (株)日本上下水道設計