【論  文】

廃棄物充填層の有効熱伝導率に関する研究

吉 田 英 樹*・田 中 信 寿**・穂 積   準*

【要 旨】 廃棄物埋立地内では,微生物反応などにより熱が発生し,埋立地内温度が上昇する現象が実測や理論により確認されている。埋立地内温度の変化により,微生物反応の動態を把握することも可能である。また,埋立地内温度は埋立地内の諸現象に対して大きな影響を及ぼす因子として重要である。本研究は,埋立地内の温度分布特性を評価する際に必要な熱特性の1つである有効熱伝導率に注目した。廃棄物充填層の有効熱伝導率を測定するための実験装置を製作し,焼却灰,破砕不燃ごみ,人工ごみの廃棄物充填層の有効熱伝導率を測定した。その結果,廃棄物充填層の有効熱伝導率は廃棄物の種類,充填層の見かけ密度,含水率により大きく変化した(0.04〜1.1 J/(m・s・℃))。また,有効熱伝導率の推定法として,直列モデルと並列モデルの各推定値の幾何平均を用いて推定する方法が有効であることが分かった(推定誤差±50%)。

キーワード: 廃棄物充填層,有効熱伝導率,熱移動,温度,推定

廃棄物学会論文誌,Vol. 3, No,2, pp.17-25, 1992

原稿受付 1991.7.3

* 室蘭工業大学工学部

** 北海道大学工学部

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