【特 集 :廃棄物問題――法規制の現状と動向】

廃棄物処理法の改正と今後の廃棄物対策

安 藤   茂*

【要 旨】 近年,廃棄物は量的に増大するとともに多様化してきており,処理体制が追いつかない状況が生じている。また,新規の最終処分場の設置は,用地難や周辺住民の反対等により困難な状況にある。このため,処理段階での減量努力は限界にきており,社会全体で廃棄物の減量に取り組むことが不可欠となっている。また,処理に特別の配慮が必要な産業廃棄物については,マニフェストシステムなどにより最終処分までの処理ルートを排出事業者が責任をもって確認する必要がある。一方,市町村の通常のごみ処理体制で適正な処理が困難な廃棄物については,製造事業者が市町村の処理に協力することも必要である。さらに,今後一層の減量処理を進める観点から,廃棄物処理施設整備5箇年計画に基づき,計画的な施設整備を図ることが重要である。

キーワード: 排出抑制,分別,再生,特別管理廃棄物,マニフェスト

廃棄物学会誌,Vol. 3, No,2, pp.108-115, 1992

原稿受付 1992.1.29

* 厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課 課長補佐

連絡先:〒100-45 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2