【論  文】

有機廃棄物の好気性発酵乾燥における装置別特性の究明

清 水   浩*・呉   星 五*・琵琶坂 育 雄*

【要 旨】 有機堆積物の好気性発酵乾燥について,乾物減速度u=ΔD/Δtを指標として分析する方法を確立した。乾物減速度uについて,基準とみなせる初期値usを基礎実験から把握し,かつ,発酵時間の経過でuが次第に減少する過程を基礎実験から究明して,発酵の減衰度を表す指標aを,時間tと共に灰分率φが増加する関係において把握した。水分減速度v=Δw/Δtの初期値vsも基礎実験結果から把握し,乾物減と水分減とに基ずく含水率Ψと灰分率φの変化過程を,発酵の減衰過程におけるべき級数の関係で求めるシミュレーション式で求めた。その計算値を,実際装置での実測値で検証すると良く一致し,これから発酵乾燥における堆積層の種々の変化過程を詳細に理解できた。また,装置の各種型式別に特性値を算出して比較したところ,明確に特長が把握できて,目的に応じた装置の選定が可能になった。

キーワード: 好気性発酵乾燥,有機廃棄物,コンポスト,シミュレーション

廃棄物学会論文誌,Vol. 3, No.3, pp.41-50, 1992

原稿受付 1992. 10. 17

* 岩手大学農学部

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