【特 集 :有害廃棄物】

有害廃棄物の定義とその管理体系

酒 井 伸 一*

【要 旨】 有害廃棄物の適正管理に向けて,国際機関,欧州共同体,米国,我が国などで,積極的な政策展開が図られつつある。これらの規制における有害特性と有害廃棄物の定義について比較検討した。1991年の改正廃棄物処理法では危険性と毒性の双方の概念を含めた有害性の概念に拡張され,具体的な特別管理廃棄物指定の前提とされることとなった。新たな特別管理廃棄物の枠組みで,我が国の有害廃棄物発生量を推算した結果,約550万トン/年となり総廃棄物量に対して約1.5%の割合となった。有害廃棄物の発生工程も含めて,対策のプライオリティとして,(1)クリーンテクノロジー化,(2)インプラントの回収/リサイクル,(3)オフサイトの回収/リサイクル,(4)無害化/安定化,(5)保管/管理,の枠組みを提示した。

キーワード: 有害廃棄物,定義,有害特性,発生量,管理体系,バーゼル条約,EC,米国,

特別管理廃棄物

廃棄物学会誌,Vol. 3, No.3, pp.202-216, 1992

原稿受付 1992. 7. 9

* 京都大学環境保全センター 助手

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