【総  説】

都市ごみ焼却炉におけるダイオキシン対策の現状と動向

永 田 勝 也*

【要 旨】 1990年12月にわが国においても,都市ごみ焼却炉に対するダイオキシン類の発生防止に関するガイドラインが通知され,排出低減対策の実施が本格化しつつある。ダイオキシン対策は,ごみの焼却過程,燃焼ガスの熱交換・冷却過程,排ガスからの除去過程,さらには捕集飛灰の無害化過程の4つに分けられる。ここでは,ダイオキシンの生成・排出メカニズムと基本的対応策の関係を考察するとともに,各過程における具体的対策例を紹介する。また,対策実施に当たっての適用順序や推定されるその効果について述べる。現状は対策のメニューがでそろった段階であり,今後は高効率化,コンパクト化や経済性の向上が求められている。また,都市ごみ焼却炉から排出される微量有害物質に対する海外の規制・指針やわが国における現状濃度等についてふれる。

キーワード: ダイオキシン,排出対策,排出規制,生成メカニズム,排ガス処理

廃棄物学会誌,Vol. 3, No.3, pp.217-237, 1992

原稿受付 1992. 8. 17

* 早稲田大学理工学部

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