【特 集 :廃棄物の減量化】

ごみ減量化へ向けての課題

足 利 聖 治*

【要 旨】 ごみ(一般廃棄物)の排出量は年間5,000万t(平成元年度),年3%の増加量となっている。ごみの量の増加,質の変化により,市町村においては,焼却施設の新設,更新,最終処分場の確保が困難となってきており,ごみ問題は極めて深刻な事態となっている。ごみの減量化,再生利用の推進がこの問題の解決の鍵であり,普及啓発事業により,ごみを排出する国民一人一人の意識を分別収集への協力を含めた,ごみ減量化生活スタイルへと変革していくことが必要である。また,官民挙げての組織として新たに設立されたごみ減量化推進国民会議の活動も期待される。厚生省においても,引き続きごみの減量化を強力に推進することとしている。減量化推進のための今後の課題としては,ごみ処理コストを排出者である住民が排出量に応じて負担する仕組みを作ることであり,有料化,デポジット制度,ごみ税等を含めて検討を進めたい。

キーワード: 減量化,国民運動,総合戦略,適正負担

廃棄物学会誌,Vol. 3, No.4, pp.260-269, 1992

原稿受付 1992.10.13

* 厚生省環境整備課廃棄物減量推進指導官

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