【論  文】

堆肥化過程における微生物数と細菌の増殖活性

金 子 栄 廣*・「   英 眞**・藤 田 賢 二***

【要 旨】 堆肥化反応の主体である微生物がどのように反応に関わっているかについて十分に理解することは適正な堆肥化処理のあり方を考える上で重要である。本研究では,まず,堆肥化実験を行い,その過程での各種微生物数の変化を追跡した。その結果,細菌および放線菌が反応の中心となっていることが明らかとなった。しかし,それらの数は反応効率と無関係であることが示され,微生物の活性の指標の必要性が指摘された。そこで,新たに増殖活性度という指標を導入し,これと堆肥化反応の重要な環境因子の一つであるpHとの関係ならびに反応物の安定度との関係について調べた。その結果,増殖活性度は堆肥化反応の効率および安定度の指標となり得ることが示された。

キーワード: 堆肥化,微生物,増殖活性,pH,分解率

廃棄物学会論文誌, Vol. 4, No.2, pp.35-41, 1993

原稿受付 1992.8.31

* 山梨大学工学部

** 韓国建設技術研究院

*** 東京大学工学部

連絡先:〒400 山梨県甲府市武田4-3-11

山梨大学工学部 金子栄廣