【論  文】

バイオマス熱分解炉の開発とその特性

清 水   浩*・E.カルカソナ*・S.ウパリボン*・R.パイリントラ***・木 谷   収**・種 田 健 造*・太 田 義 信*

【要 旨】 上向流式熱分解炉の小型実験装置を試作して実験研究した。同装置は構造可変に製作し,各種条件変化で実験して,比較した結果から装置の具備すべき最適条件を究明した。また,装置には下記の主なる新機能を持たせた。排出ガスを水沸点の近接温度に自動制御した。燃焼層下に冷却層を構成した。冷却層で得た水蒸気を還元層へ送って水性ガスを得た。排出ガスの冷却過程でタールを用途別に3区分して取得し,タールを十分に除去する処置を採ってからエンジンへ送った。炉周壁を比較的薄い耐火煉瓦材で構成し,さらに耐熱ウール材で被覆した,などである。これらの結果,熱分解炉内には低温の原料層が無くなり,還元層が広く形成され,取得ガスの発熱量を強化できた。クリンカーの発生も回避し,安定作動した。また,この実験結果から,反応炉の物質収支と熱収支を究明し,熱分解炉の特性を把握した。

キーワード: バイオマス,有機廃棄物,熱分解炉,上向流式炉,ガスエンジン,

廃棄物学会論文誌,Vol. 4, No.2, pp.42-52, 1993

原稿受付 1992.3.19

* 岩手大学農学部

** 東京大学農学部

*** King Monkut's Inst. of Tec.

連絡先:〒020 岩手県盛岡市上田3丁目18 岩手大学農学部

太田義信