微生物による海藻の好気性および嫌気性分解の実験的研究
惣 田 c 夫*・淡 路 宣 男*・金 子 精 一**
【要 旨】 海岸に打ち上げられた代表的な海藻を高さ80cm,直径25cmの塩化ビニール製およびガラス製のカラムに充填し,好気性および嫌気性分解に関する基礎的実験を行なった。実験は週1回カラムに蒸留水と海水を1.5l入れ,出てきた浸出水の観測および分析結果から分解特性を把握した。さらに,分解条件を検討するため,各種栄養塩を添加してバッチ式で培養実験を行なった。その結果は次のとおりであった。(1) 実験を開始した当初は,微生物の分解活性が高く浸出水のTCとBODは高濃度であった。(2) 好気性分解は嫌気性分解と比べて浸出水のTOCは低いが,TCは高く,分解率も高かった。(3) 海藻の分解には好塩性細菌であるVibrio sp. やPseudomonas sp. 等の菌種が関与し,その活性は塩濃度との関係が推察された。(4) 各種栄養塩の添加実験の結果,無添加培地と比べペプトンや燐酸二アンモニウムを添加した培地の場合,3倍程分解速度が速くなった。
キーワード: 微生物分解,海藻,海洋性細菌,シュードモナス,栄養塩
廃棄物学会論文誌,Vol.4, No.3, pp.79-86, 1993
原稿受付 1992.7.27
* 神奈川県環境科学センター,環境工学部
** 神奈川県衛生研究所,食品獣疫部
連絡先:〒254 神奈川県平塚市中原下宿842
神奈川県環境科学センター 惣田 c夫