【論  文】

水底土砂埋立処分地余水の最適処理法の検討

――安定化池における砂ろ過法および高等生物による余水処理――

福 永   勲*・井 上 善 介*・高見澤 一 裕**・長谷部 敏 彦***・小 苗 三代治***・波多野 清 史***・武 甕 孝 雄****・飯 田   博****・森   鐘 一*****

【要 旨】 大阪市北港海面埋立廃棄物処分地北地区は,昭和48年より供用を開始し,昭和61年度で埋立作業を終了し,南地区へ移行した。その中で水底土砂埋立のための2・3区の放流水質は,埋立の進捗とともに,埋立処分地安定化池に植物プランクトンの異常増殖による内部生産の増大によってCODやSSの増加がもたらされ,植物プランクトンを中心とする浮遊物質を取り除くという水処理が必要であることがわかった。そこで,本報では,植物プランクトンを中心とする浮遊物質を除去するために,実験室的におよび現場で砂ろ過法および高等生物による水処理法を検討した。その結果,砂ろ過方法は,水質向上効果の点では充分可能性があるが,問題はろ過閉塞の回復と,ろ過速度が損失水頭約1mでろ過面積1m2あたり約6.3m3/dayと低いことである。また,高等生物による余水処理方法は,水質の状況によっては応用可能であるが,現状の北港廃棄物処分地余水では困難であることがわかった。

キーワード: 大阪北港海面埋立廃棄物処分地,安定化池,高等生物,砂ろ過,植物プランクトン

廃棄物学会論文誌,Vol.4, No.3, pp.97-106, 1993

原稿受付 1992. 6. 10

* 大阪市立環境科学研究所

** 岐阜大学農学部

*** 大阪市港湾局

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大阪市立環境科学研究所 福永 勲