【特 集 :経済的インセンティブによる環境管理】

経済的手法の環境政策への導入について

倉 阪 秀 史*

【要 旨】 経済的手法とは,企業や個人の経済合理的な判断を活用して,これらの者の行動を誘導する手法であり,経済的助成措置と経済的負担措置からなるものである。通常の社会経済活動のあり方に起因する問題に対処するためには,従来の行為規制中心の政策だけではなく,経済社会のあり方を環境保全面から誘導していく政策手法の充実が必要である。すなわち,経済社会の構造を一定の方向に向けて徐々に変革していくための手段としては,経済的負担措置のほうが経済学的に優れており,また,このような課題に対しては規制的手法には限界がある。さらに,環境政策への経済的手法の導入については,国際的にも様々な場で推奨されてきた。このような認識のもとに,環境基本法案に経済的手法に関する条文が盛り込まれた。廃棄物管理のために経済的手法を導入することについては,政府は総じて前向きであり,現在,更に検討が進められているところである。

キーワード: 経済的手法,経済的助成措置,経済的負担措置,環境基本法案,廃棄物管理

廃棄物学会誌,Vol.4, No.3, pp.199-207, 1993

原稿受付 1993. 5. 11

* 環境庁企画調整局企画調整課

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