【論  文】

廃棄物カプセル輸送システムの開発

溝 上 芳 史*・内 藤   明*・前 田 道 宏**・神 谷  治***・山 根 健 司****

【要 旨】 近年,わが国の多くの都市では,経済成長や生活様式の多様化に伴って廃棄物量はますます増え続ける傾向にあり,この増加する廃棄物量に対応した,効率的な収集,輸送に関する研究開発が急がれており,21世紀の都市環境にふさわしい新システムの出現が強く求められている。本研究では,こうした情勢に対応するため,これまであまり技術的進歩の見られなかった廃棄物輸送の高効率化,合理化を取り上げた。すなわち,排出される廃棄物を集積センターに集めて,カプセルに詰め,これを処理場まで専用のパイプラインで空気流により輸送する,という新しいシステムの実現を意図するものである。ごみ輸送特有の問題点解決のため,要素技術の開発実験では圧縮詰込後のごみの密度,圧縮詰込面圧,排出面圧,カプセルを搭載した台車の抗力係数などを求めた。また,システムのシミュレーションプログラムの開発を行い,収集輸送コストを試算した結果,十分経済性のあることがわかった。

キーワード: 都市ごみ,ごみ収集,ごみ圧縮,輸送,

廃棄物学会論文誌,Vol. 4, No.4, pp.133-141, 1993

原稿受付 1992.6.8

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