廃車処理の現状と課題
橋 征*
【要 旨】 高度技術を結集して強固な産業基盤を形成して,躍進を遂げて来た自動車産業が,唯一今世紀中に取残して来た課題が廃車処理を含むトータルリサイクル問題である。1992年には廃車発生台数年間約500万台の内約70%は中古部品,再生部品,資源リサイクルにて再利用されているが,残りの約30%は再利用が出来ない廃プラスチック類として産業廃棄物扱いとなり,埋立処分されている。しかし,埋立処分地の用地取得が,周辺住民の反対運動から年々厳しくなり,その処分費用の高騰により,円滑なリサイクル機構が崩壊する懸念があり,現在関連業界で熱源化利用を検討している。
キーワード: 廃車処理,トータルリサイクリング,廃プラスチック類,熱源化利用
廃棄物学会誌,Vol. 4, No.4, pp.290-294, 1993
原稿受付 1993.7.29
* (株)タカセキ 代表取締役
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