【技術報告】

建設汚泥の溶融処理における熱原単位の検討

溝 上 芳 史*・原   昌 弘**・藤 井 健 一***

【要 旨】 建設汚泥は排出量が多い産業廃棄物であり,都市近郊の埋立残余地がなくなりつつある昨今,リサイクル使用可能な処理方法を早急に確立する必要がある。そこで,本稿では建設汚泥の溶融処理をとりあげ,処理コストの大半をしめるプロセスにおける燃料原単位に着目し,低減のためのパラメータサーベイを行った。検討対象のパラメータとしては,乾粉予熱温度,乾粉水分濃度,空気予熱温度,溶融炉空気比,酸素濃度,汚泥処理量,スラグ溶流温度および汚泥含水比である。これらの組み合わせにて熱の高効率利用を図ると,乾燥処理に要する燃料量に若干の燃料を付加するだけで溶融処理が可能となりかつ生成スラグの建設資材としての活用が期待されることが判明した。

キーワード: 建設汚泥,溶融処理,スラグ,リサイクル,熱原単位

廃棄物学会誌,Vol. 4, No.4, pp.339-345, 1993

原稿受付 1993.6.17

* (財)エンジニアリング振興協会

** 川崎重工業(株)技術総括本部

*** 川崎重工業(株)明石技術研究所

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