ごみ焼却飛灰の性状と処理技術の展望

平　岡　正　勝*・酒　井　伸　一**

【要　旨】　1991年の改正廃棄物処理法において，特別管理廃棄物に指定されたごみ焼却ばいじんの性状，中間処理方法を概説した後，飛灰処理を含めた廃棄物処理の将来について言及した。成分的には焼却灰と比べて鉛，カドミウム，亜鉛等の重金属類やナトリウム，カリウム等の塩類が多く，またダイオキシン類も0.1〜100ng-TEQ/g含まれている。長期的，理想的な廃棄物焼却ばいじんへの対処方法としては，(1)資源循環型処理，を優先し，(2)安定化処理，(3)貯留管理，の順に考えることが望ましい。(4)資源循環型処理は，酸や水洗による抽出処理，または高温揮散分離により，鉛，亜鉛，カドミウムなどの金属類を濃縮し，山元還元を図るシステムである。具体的には，揮散分離を兼ねる高温溶融処理とスラグ利用によるものが中心となる。一方，資源循環に向けた技術開発を待つ視点も重要であり，短期的な当面の対策の方向性としては，安定化処理，貯留管理といった対処も重要である。

キーワード: ごみ焼却，飛灰，ばいじん，処理，リサイクル

廃棄物学会誌，Vol. 5, No.1, pp.3-17, 1994

原稿受付　1994.1.7

* 京都大学工学部　教授

** 京都大学環境保全センター　助手

連絡先:〒606-01　京都市左京区吉田本町

京都大学環境保全センター　酒井　伸一