埋立廃棄物層の通気性が浸出水水質の安定化に及ぼす影響について
朴 祥 徹*・楠 田 哲 也*・島 岡 隆行**・松 藤 康 司** ・ 花 嶋 正 孝**
【要 旨】 本研究では,集排水管のみを設置している準好気性埋立地,集排水管に加えて竪形ガス抜き設備を有する埋立地,さらに通気性の大きい中間覆土層を設けた埋立地を模擬した3種類の二次元埋立模型槽に,焼却残渣主体の調整ごみを充填し,それぞれの埋立模型槽における廃棄物層内のガス濃度分布特性,有機および無機汚濁成分の挙動について検討を行った。さらに,集排水管近傍における汚濁成分の浄化能力についても検討した。廃棄物層内への酸素濃度10%以上の酸素侵入領域は,集排水管のみを有する埋立模型槽に比べ,竪形ガス抜き設備や通気性の大きい中間覆土層を設けた埋立模型槽では2〜3倍に拡大した。有機および無機汚濁成分の多くは,廃棄物層の深さ方向に著しい濃度変化を示した。有機汚濁成分の流出量は廃棄物層内への酸素侵入が促進されるほど低減し,Ca, Fe, Mn, Cu, Zn, Pbは廃棄物層内の酸化・還元領域の多少によって濃度が増減する傾向が見られた。集排水管近傍の好気性領域は有機および無機汚濁成分に対して浄化能力を有し,BOD浄化能として最高値で0.23kg/m3・dが得られた。
キーワード: 廃棄物,準好気性埋立構造,ガス濃度分布,汚濁成分,浄化能
廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.1, pp.19-28, 1994
原稿受付 1992.12.3
* 九州大学工学部
** 福岡大学工学部
連絡先:〒814-01 福岡市城南区七隅18-9-1
福岡大学工学部土木工学科 島岡 隆行