【総  説】

公共を支える「民」と公共政策

――廃棄物問題への社会対応をめぐる一試論――

寄 本 勝 美*

【要 旨】 廃棄物問題は,いまや公共(ないし社会)問題の最たるものの一つである。けれども公共なるもののすべてが行政につながるものではなく,官によって支配されるべきものでもない。公共は「民」によっても支えられ,公共政策は部分的に「民」によってつくられ担われるべきものである。ところで,「民」には2つの活動主体がある。一般市民(種々の市民団体を含む)と民間企業がそれである。最近,企業の社会的貢献が注目され,“企業市民”というキャッチ・フレーズが企業みずからによっても用いられ始めている。また,市民,企業,そして行政という3者の協力の重要性がひんぱんに指摘されている。こうした動きや期待に企業はどのように応えていくのだろうか。

キーワード: 廃棄物問題,公共問題,「民」,企業,市民,企業,行政の協力

廃棄物学会誌,Vol. 5, No.1, pp.69-78, 1994

原稿受付 1993.9.13

* 早稲田大学政治経済学部 教授

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