都市ごみ焼却施設における排ガス中の二酸化硫黄自動計測器の特性
谷 川 昇*・浦 野 紘 平**
【要 旨】 都市ごみ焼却施設において,赤外線吸収方式と紫外線吸収方式の排ガス中の二酸化硫黄自動計測器(SO2自動計測器)について,自動計測器間の測定値の差,沈殿滴定法による測定値(化学分析値)との差の原因などを詳細に検討した。測定原理が異なるSO2自動計測器間の測定値の差の原因は,CO2とH2Oの影響を十分に補正できていないためと考えられた。また,赤外線吸収方式のSO2自動計測器の測定値と化学分析値には差がみられたが,高い相関性が得られた。この原因は,CO2とH2Oによる正の影響と,化学分析法ではSO2以外にSO3も測定対象となること,および除湿器での凝縮水中へのSO2の溶解損失があることによる負の影響が相殺したためと考えられた。さらに,紫外線吸収方式のSO2自動計測器の測定値が化学分析値より平均的に約4ppm低くなった原因は,化学分析法ではSO2以外にSO3も測定対象となること,および除湿器でのSO2の損失があることが考えられた。これらをもとに,赤外線吸収方式のSO2自動計測器の精度向上方法を提案するとともに,各SO2自動計測器で得られる値の意味および維持管理上の注意事項を明らかにした。
キーワード: 二酸化硫黄自動計測器,赤外線吸収,紫外線吸収,沈殿滴定法,都市ごみ焼却炉
廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.2, pp.54-62,1994
原稿受付 1993.4.7
* 東京都清掃研究所
* 横浜国立大学工学部
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東京都清掃研究所 谷川 昇