海面廃棄物埋立地における硫酸還元菌の分布とその重金属不溶化への役割
高見澤 一 裕*・社 本 博 司*・堀 津 浩 章*・河 合 啓 一*・鈴 木 徹*・森 智 子**・福 永 勲***・飯 田 博****
【要 旨】 廃棄物埋立地における硫酸還元菌の役割を明らかにするため,浸出水中の硫酸還元菌の分布調査と硫酸還元菌による各種重金属の不溶化実験を行った。調査場所として海面廃棄物処分場を選び,内水面およびボーリング孔内水の硫酸還元菌数を測定したところ,硫酸還元菌は地点,水温や季節を問わず普遍的に存在することが示された。硫酸還元菌を集積培養して合成培地を用いた重金属の不溶化実験を行ったところ,カドミウムと銅は24時間で,鉄と亜鉛は48時間で不溶化したが,クロムは48時間後でも16.1%しか不溶化しなかった。カドミウムを用いた不溶化実験で生成された沈澱物をSEMおよびEDXで解析すると,硫化カドミウムであることが証明できた。これらから,硫酸還元菌は廃棄物埋立地における重金属の不溶化に関与していることが示唆された。
キーワード: 海面廃棄物埋立地,浸出水,重金属,硫酸還元菌
廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.3, pp.89-97, 1994
原稿受付 1993.6.10
*岐阜大学農学部
**一丸ファルコス株式会社
***大阪市立環境科学研究所
****(財)関西産業公害防止センター
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岐阜大学農学部 高見澤一裕