【論  文】

都市ごみ焼却施設における排ガス中のアンモニア自動計測器の特性

谷 川   昇*・武 本 敏 男*・今 井 俊 多*・浦 野 紘 平**

【要 旨】 都市ごみ焼却施設において,排ガス中のアンモニア自動計測器(NH3自動計測器)の測定値とインドフェノール吸光光度法によるNH3濃度の測定値(化学分析値)を比較したところ差がみられたので,差の原因について詳細に検討した。触媒変換方式のNH3自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられた原因は,排ガス中のNOx,NH3およびCO2濃度に変動があることが考えられた。イオン電極方式のNH3自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられた原因は,NH3自動計測器においては排ガスの吸引流量と吸収液流量が変動すること,排ガス中のH2Oの凝縮により吸収液量が増加することが考えられた。紫外線吸収方式のNH3自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられた原因は,NH3自動計測器の測定値はNOとSO2による影響を受けることが考えられた。これらをもとに各NH3自動計測器の精度を向上させるための方法を提案するとともに,各NH3自動計測器の応答性や維持管理上の注意事項を明らかにした。

キーワード: アンモニア自動計測器,インドフェノール吸光光度法,都市ごみ焼却炉,煙道排ガス,脱硝

廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.3, pp.98-107, 1994

原稿受付 1993.4.7

* 東京都清掃研究所

** 横浜国立大学工学部物質工学科

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東京都清掃研究所 谷川 昇