混合収集ごみ埋立地の浸出水中の有機化合物
福 井 博*・淡 路 宣 男*・伊 東 富 晴**
【要 旨】 埋立地から排出される浸出水の有機物による水質汚濁を表す指標には,BOD,COD等の総括的な指標が用いられており,個々の物質の詳細な確認は行われていない。そこで,混合収集ごみから流れ出る水(ごみピット水)と,混合収集ごみを焼却等の中間処理をすることなく廃棄した埋立地の浸出水に含まれている有機化合物の成分を明らかにする手がかりとして,脂肪酸,アミノ酸等数種の有機化合物の存在について検討を行った。その結果,ごみピット水にはアミノ酸等の動植物に含まれる成分が確認されたものの,埋立地から排出される浸出水中にはほとんど認められず,このような物質は埋立地の内部で分解されていることが示唆された。そこで,浸出水中の不明な成分に着目し,GC/MSを用いて検索を行い,得られたマススペクトルの検討から,フタル酸エステル類のDEHP,DBPの存在を確認した。
キーワード: 廃棄物埋立処分,混合収集ごみ,浸出水,有機化合物,フタル酸エステル類
廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.3, pp.118-125, 1994
原稿受付 1993.7.27
* 神奈川県環境科学センター
** (財)食品薬品安全センター 秦野研究所分析化学研究室
連絡先:〒254 神奈川県平塚市中原下宿842
神奈川県環境科学センター 福井 博