【特 集 :有害廃棄物管理の方向―基準を中心として―】

廃棄物最終処分基準の見直し

中 杉 修 身*

【要 旨】 18年ぶりに行われた水質環境基準の改訂や海洋投入処分の原則禁止を求めたロンドン条約の改正を受けて,廃棄物最終処分基準の見直しが行われた。水質環境基準の見直しでは15項目が新たに追加され,2項目の基準値が改められたが,埋立処分や海洋投入処分に係わる廃棄物の判定基準も,既に定められていたトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンを除く13項目が新たに追加されるとともに,鉛とヒ素の2項目の基準値が改められた。一方,ロンドン条約の付属書の見直しに伴い,海洋投入処分基準に別の4項目が追加された。また,シュレッダーダストの管理型処分地への埋立方法の変更が検討されている。さらに,ロンドン条約における海洋投入処分を原則禁止する動きに対応して,海洋投入処分基準の強化が検討されており,有害物質汚染によるリスク管理に対する関心の高まりを受けて,廃棄物最終処分基準は今後,さらに見直されていくものと考えられる。

キーワード: 最終処分基準,基準の改訂,水質環境基準,海洋投入処分

廃棄物学会誌,Vol. 5, No.3, pp.197-209, 1994

原稿受付 1994.6.7

* 国立環境研究所地域環境研究グループ 上席研究官

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