【特 集 :有害廃棄物管理の方向―基準を中心として―】

有害廃棄物の越境移動を巡る国際的動向

森 下   哲*

【要 旨】 1980年代から開始された有害廃棄物の越境移動を国際的な枠組の下でコントロールしようという試みは,1989年にバーゼル条約として実を結んだ。わが国もバーゼル条約等の国内対応法である特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律を制定し,同条約の適正な実施を確保することにより,有害廃棄物の越境移動という地球環境問題の解決に取り組んでいる。世界的には,有害廃棄物は発生した国において処分されるべきであるとの動きが強まっており,今後,発生した有害廃棄物の適正な処分の確保はもちろんのこと,そうしたものを発生させない技術の導入に対するニーズが高まっている。

キーワード: 有害廃棄物,越境移動,バーゼル条約

廃棄物学会誌,Vol. 5, No.3, pp.210-219, 1994

原稿受付 1994.6.6

* 環境庁水質保全局海洋汚染廃棄物対策室

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