【特 集 :有害廃棄物管理の方向―基準を中心として―】

PCB関係廃棄物の処理対策について

橋 詰 博 樹*

【要 旨】 PCBは国内で5万4千トン使用され,その3分の2は電気絶縁物として用いられた。また,ノーカーボン紙等として広範な用途に用いられた。これらは昭和49年以降,製造,輸入,使用等が原則禁止され,耐用年数の経過等により,廃棄物として保管されている。特に平成4年7月以降は特別管理廃棄物として,従来よりも厳しい規制下にある。厚生省が平成4年に実施したPCB関係廃棄物の保管状況調査によると,PCB含有の廃トランス,コンデンサーの7%,ノーカーボン紙の4%が不明紛失状態にあった。本稿では,わが国におけるPCBに関する廃棄物分野での経緯および規制,対策の概要ならびに環境分野での規制,汚染状況を概括するとともに,PCB関係廃棄物対策の今後の行政的方向を示す。

キーワード: PCB,絶縁油,特別管理廃棄物,有害廃棄物

廃棄物学会誌,Vol. 5, No.3, pp.233-242, 1994

原稿受付 1994.6.23

* 厚生省産業廃棄物対策室 室長補佐

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