【調査報告】

食品産業の廃棄物と再資源化の現状

牛久保 明 邦*・川 崎 聖 司**・漆 原 英 彦***・恵 畑   晃***

【要 旨】 食品産業における廃棄物の処理および再資源化などの現状を把握する目的でアンケート調査を実施した。廃棄物は,汚泥,植物性残渣,動物性残渣,廃プラスチック,金属くず,ガラスくず,廃油,焼却灰・もえがら,可燃性一般廃棄物,不燃性一般廃棄物およびその他の11種類を対象に,その発生量および性状についても調査した。アンケートは,食品関連企業30業種の934事業場に依頼した。その回収率は43%であった。その結果,一事業場における全廃棄物の年間平均発生量は,10,688t/年であり,そのうち汚泥が70%,植物性残渣が23%その他が7%の割合で占めていた。また,食品産業内での中間処理率は発生量の70%を示し,産業廃棄物業者による中間処理率は21%であった。再資源化率は,食品産業の事業場内で発生量の約5%,産業廃棄物業者によるもの約13%にすぎない。再資源化は,食品産業では特に廃油が燃料として,産業廃棄物業者においては,金属くずおよびガラスくずが再生用原料として利用されている。

キーワード: 食品産業,廃棄物,再資源化

廃棄物学会誌,Vol. 5, No.3, pp.255-259, 1994

原稿受付 1993.7.1

* 東京農業大学農学部 助教授

** 国立八代工業高等専門学校 助教授

*** (財)食品産業センター

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東京農業大学 農学部 牛久保 明邦