日排出量の長期間測定による家庭ごみ発生特性に関する研究
松 藤 敏 彦*・田 中 信 寿*・松 尾 孝 之*
【要 旨】 家庭ごみの発生特性を明らかにするため,札幌市内の3家族をモニターとするごみの計量調査を9年間行った。各モニターは,排出するごみを,厨芥,紙くず類,プラスチック,金属,ガラスに分けて毎日計量し,資源回収するもの,粗大ごみは対象としていない。厨芥,紙くず類の排出量は,それぞれ正規分布,対数正規分布にしたがい,分布の代表値としてはメジアンが適当である。両者の経年変化は,紙おむつの使用,家族人数の変化,年齢の変化によってほぼ説明できた。また,季節変動パターンにはモニターごとの特徴が見られるが,夏の厨芥,年末,年度末の紙くず類の増加が,市全体のごみ量の季節変動の原因と考えられる。曜日変動には,家庭ごとに固有な一週間の生活パターンが表われている。一方,プラスチック,金属,ガラスは排出されない日も多く,対数正規的な排出分布を示す。モニター間の排出量の違いは厨芥が最も大きく,生活スタイルの差を反映している。
キーワード: 家庭ごみ,モニター調査,ごみの計量調査,日排出量,発生特性
廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.4, pp.133-141, 1994
原稿受付 1993.11.15
* 北海道大学工学部衛生工学科
連絡先:〒060 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学工学部衛生工学科 松藤敏彦