【論  文】

下水汚泥焼却にともなう亜酸化窒素の排出挙動

安 田 憲 二*・高 橋 通 正*・矢 島   巌*・金 子 幹 宏*

【要 旨】 下水汚泥の燃焼実験により,各種燃焼条件におけるN2Oの生成,排出挙動を検討した。その結果,N2Oは主にHCH/NCOを経由した均一反応およびChar-Nの直接転化による不均一反応の両方により生成されていると推測された。N2Oの生成量は燃焼温度が700℃近辺の時に最大となった。温度が800℃以上になると,N2Oの分解率は温度およびガスの滞留時間に比例して急激に高くなった。また,汚泥焼却炉からのN2O排出挙動を調査した。その結果,汚泥中のN分によるN2O生成プロセスなどの挙動を示すことが確認された。汚泥焼却炉からのN2Oの生成は,Char-Nの直接転化による寄与が大きいと推測された。

キーワード: 亜酸化窒素,排出挙動,生成,分解,汚泥焼却

廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.4, pp.142-150, 1994

原稿受付 1993.11.8

* 神奈川県環境科学センター環境工学部

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神奈川県環境科学センター環境工学部 安田憲二