硫酸塩還元を用いた廃棄物埋立地からのメタン発生抑制法の研究
金 正 権*・松 井 三 郎*
【要 旨】 地球温暖化防止の観点から埋立地から発生するメタンガスを抑制する方法を検討した。すなわち,人為的に埋立実験カラムに硫酸塩(Na2SO4として)を添加して硫酸塩還元細菌(Sulfate-Reducing Bacteria, SRB)がメタン生成細菌(Methane-Producing Bacteria, MPB)と競合してMPBの基質利用の活動度を阻害することを利用したメタン抑制について実験を行った。 実験500日目までの流出COD濃度およびガス発生は,硫酸塩無添加のリアクターでは有機物分解とともに有機酸がMPBによって分解され,最高60.2%のメタン濃度を示した。しかし,硫酸塩添加のリアクターでは固形有機物および生成した有機酸がSRBによって分解され,メタン発生抑制が見られた。しかも,SRBの炭素源利用によって発生するCO2はほとんどがリアクター中の水溶液に溶解され,浸出水中の無機炭素(IC)として流出した。
キーワード: 地球温暖化,埋立地,メタン,硫酸塩還元,硫酸塩還元細菌
廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.4, pp.151-160, 1994
原稿受付 1993.10.29
* 京都大学工学部 附属環境微量汚染制御実験施設
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京都大学工学部 附属環境微量汚染制御実験施設 金 正権