【研究ノート】

都市ごみ焼却施設における排ガス中の塩化水素自動計測器の特性

谷 川   昇*・浦 野 紘 平**

【要 旨】 都市ごみ焼却施設において,イオン電極方式の塩化水素自動計測器(HCl自動計測器)の測定値と硝酸銀滴定法による測定値(化学分析値)とを詳細に比較検討した。イオン電極方式のHCl自動計測器の測定値と化学分析値に差がみられたが,この原因としては,HCl自動計測器において生ずる排ガスの吸引流量と吸収液流量の変動による正または負の誤差および排ガス中のH2Oの凝縮に伴う吸収液量の増加による負の誤差と,硝酸銀滴定法において生ずる排ガス中のCO2の吸収液への吸収に伴う排ガスの吸引量の見かけ上の減少による正の誤差とばらつきが考えられた。これらをもとに,イオン電極方式のHCl自動計測器の精度向上方法を提案するとともに,使用済み吸収液中の水銀の処理の必要性等の維持管理上の注意事項を明らかにした。

キーワード: 塩化水素自動計測器,イオン電極,硝酸銀滴定法,都市ごみ焼却炉

廃棄物学会論文誌,Vol. 5, No.4, pp.161-168, 1994

原稿受付 1993.12.2

* 東京都清掃研究所

** 横浜国立大学工学部物質工学科

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東京都清掃研究所 谷川 昇