【論  文】

家庭系ごみから生産されたごみ燃料の性状に関する研究

金   贏 載*・松 藤 敏 彦*・田 中 信 寿*

【要 旨】 家庭系ごみのごみ燃料(RDF)化に注目し,原料ごみ質が異なる4つの施設を対象に1年にわたって,RDF性状の調査を行った。施設間の原料ごみ質は,分別方法の違いにより厨芥とプラスチック割合に差がある。厨芥割合が高いと不燃物の付着が多くなるため灰分が高くなり,また,貯蔵の際に含水率を10%以下に抑えないと腐敗の可能性がある。厨芥混入量の指標として腐敗性炭素を提案した。プラスチックは発熱量とともに塩素量を高くする。家庭系ごみの組成に近い原料を用いている施設では塩化水素ガス発生が問題になる水準ではないが,プラスチック割合が高い施設では塩ビ混入率も高いと推定され,塩ビ搬入をコントロールする,高温燃焼を避けるなどの対策が必要である。各施設ともに年間を通して安定した燃料特性を持つRDFが生産されている。

キーワード: 家庭系ごみ,ごみ燃料,原料ごみ質,燃料特性,物質収支

廃棄物学会論文誌,Vol. 6, No.1, pp.7-15, 1995

原稿受付 1994.4.13

* 北海道大学工学部衛生工学科

連絡先:〒060 札幌市北区北13条西8丁目

北海道大学工学部衛生工学科 松藤 敏彦