粉末汚泥羽口吹き込み式溶融炉のシミュレーション
王 家 兵*・常 深 武 志*・藤 井 岳*・市 川 宗 春**
【要 旨】 コークスベッド式下水汚泥溶融プロセスの溶融炉の効率(コークスの低減)を向上させるため,高炉微粉炭吹き込み技術を適用した粉末汚泥羽口吹き込み式溶融プロセスを開発し,3流体(ガス・コークス・粉末汚泥)シミュレーションモデルを作成して溶融炉内の複雑な流動,伝熱,燃焼の数値解析を実施した。ガス相とコークス粒子相は有限体積法を用いてこれらに関する輸送方程式を離散化した。一方,粉末汚泥粒子相は不連続相とし,個々の粉末汚泥粒子の挙動についてラグランジュ法により推算した。本報では解析結果とベンチスケール実験結果との比較により,数学モデルの妥当性を検証するとともに,数学モデルにより操作条件(汚泥処理量,旋回空気量),汚泥の粒径および汚泥種など種々の因子とコークス消費,汚泥の燃焼特性,炉内温度分布など溶融炉の性能との関係を明らかにした。数学モデルは新しい溶融炉の設計および溶融炉操作条件の検討に活用されている。
キーワード: 数値シミュレーション,汚泥溶融,コークス燃焼,充填層,3流体モデル
廃棄物学会論文誌,Vol. 6, No.1, pp.23-31, 1995
原稿受付 1994.3.5
* 大阪ガス(株)開発研究所
** 大阪ガスエンジニアリング(株)
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大阪ガス(株)開発研究所 環境技術開発チーム
王 家兵(または常深 武志)