【解  説】

日本のLCA的研究の動向とその特徴

和 田 安 彦*・三 浦 浩 之*・中 野 加都子*

【要 旨】 地球規模の環境問題への意識と関心が高まったことから,人間活動により生じる環境負荷をできるだけ低減することが求められている。環境負荷を低減するためには,私達が製品や構造物のライフサイクル全般における環境に与える影響を明らかにすることとその影響の比較が必要である。最近,製品や構造物の環境への影響を明らかにする手法として注目されているのがLCA(Life Cycle Assessment)である。LCAはISO(国際標準化機構)において環境に関する標準化を行う手法として期待されている。LCA研究は1970年代後半から欧米で行われている。日本でも,最近,LCAの研究成果が発表された。しかし,LCAは確立された手法ではなく,現時点では多くの問題点と課題がある。本論文において私達は日本のLCA研究の動向と特徴をまとめた。また,LCAを環境への影響を定量化する有効な手法として確立するために,今後の方向について検討した。

キーワード: LCA,環境負荷,環境影響,ライフスタイル,エコラベル

廃棄物学会誌,Vol.6, No.1, pp.54-61, 1995

原稿受付 1994.7.18

* 関西大学工学部土木工学科

連絡先:〒564 大阪府吹田市山手町3-3-35

関西大学工学部土木工学科 和田 安彦