【特 集 :廃棄物学会第5回研究発表会】

LCA(ライフサイクルアセスメント)の考え方と可能性

――廃棄物問題と関連して――

森 下   研*

【要 旨】 LCAは,製品等が環境に及ぼす各種の負荷と資源・エネルギーの消費を,製品およびサービスのライフサイクル[原料採取−生産−流通−使用−リサイクル・廃棄]の全過程で考慮し,できるだけ定量的に分析・評価する手法であるが,その定量的評価の要件を緩和し,定性的な項目をも加えて,トータルな評価を重視したLCAが,その操作性の良さおよび利用可能性の大きさから議論され始めている。製品のライフサイクル全体を視野に入れて評価するという重要性を,実際の評価,選択の場でできる限り取り入れようとするアプローチであり,リサイクル容易性,再生資源の使用の有無,廃棄適正などを定性的に評価するもので,LCA的評価手法とも呼べる。従前の製品アセスメントに近いものではあるが,定量的評価と定性的評価をどのように結びつけるかが課題であり,廃棄物問題の解決という観点からも,その手法を検討していくことが望まれる。

キーワード: LCA,LCA的アプローチ,定量評価,定性評価

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.2, pp.85-90, 1995

原稿受付 1995.1.13

* エコマネジメント研究所

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