【特 集 :廃棄物学会第5回研究発表会】

シンポジウム LCAのために廃棄物学ができること――LCAの現状と課題――

安 井   至*

【要 旨】 「人間地球系」の研究において一つのツールとして考えられているLCA(life cycle assessment)は地球インパクトの低減化のための有用な解析法としての可能性を有している。その定義ならびに3つの構成要素を考慮すると,LCAが地球インパクトの定量化に本当に有効になるためには,インパクトアナリシスのためのインパクト係数の導出が是非とも必要である。インパクト係数の導出には,4種の影響を評価することから始める必要があるが,そのいずれもがそれほど単純な課題であるとはいいがたい。ここでは地球資源面からの評価について若干考察する。廃棄過程における地球インパクトの定量化をどのように行うかという問題が,今後の廃棄物学の進展にとって重要な課題となるであろう。

キーワード: LCA,地球インパクト評価,インベントリーアナリシス,インパクトアナリシス,廃棄物学の役割

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.2, pp.91-94, 1995

原稿受付 1995.1.13

* 東京大学生産技術研究所

連絡先:〒106 東京都港区六本木7-22-1