【総  説】

廃棄物処理施設と安全管理――ごみ処理施設について――

鍋 島 淑 郎*

【要 旨】 近年,ごみ焼却施設をはじめとする各種のごみ処理施設は,環境保全のみならず再資源化,エネルギーの高度利用化などの社会的動向等に対応するため,施設の構成機器は複雑化し,維持管理面で多様化と高度化をもたらすことになった。また一般廃棄物処理事業は国民生活に必要不可欠なものであるにもかかわらず,作業が危険である,汚物を扱う等その作業についてマイナスのイメージが強く,労働安全性や作業の快適性等の労働環境の向上を図ることが今後の重要な課題になっている。本文においては,災害の発生状況,労務災害の分析を行い,さらに事故防止対策としての事故防止点検リスト,労働環境等の問題点の抽出を行ったものである。さらに,安全対策の考え方として,災害率の表し方にふれ,さらに他産業において行われている危険予知訓練(KYT),危険予知活動(KYK)についてもふれている。

キーワード: ごみ処理施設,労務災害,労働安全性,事故防止対策,危険予知訓練

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.2, pp.139-152, 1995

原稿受付 1994.11.17

* 玉川大学工学部経営工学科 主任教授

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