【特 集 :一般廃棄物とエネルギー利用】

高効率ごみ発電の現状と課題

西 口 信 幸*

【要 旨】 本稿では未利用エネルギーとして最も期待されている都市ごみ焼却による廃熱の有効利用として『ごみ発電』の高効率化に対する技術開発と社会環境の現状について紹介する。ごみ発電の比率が低い原因として,(1)売電価格が低く経済的に引き合わない,(2)排ガス中の腐食性ガスによるボイラチューブの高温腐食のため技術的にも過熱度を上げられないため発電効率が10〜15%と低いことがあげられる。高効率化に対して(1)過熱管の耐腐食性向上,(2)再過熱によるサイクル効率改善,(3)別燃料によるサイクル効率改善の方法(スーパごみ発電)が検討されている。スーパごみ発電を評価する指標(ごみ正味発電効率)による比較を行い,効率は蒸気圧力と過熱度に依存しごみ熱量に応じて適正な燃料使用量が存在し,過熱部分に集中して燃料を使用することで最大効率化できることがわかった。最後に建設中のスーパごみ発電の実例と補助,電気事業法緩和の動きについて紹介する。

キーワード: 未利用エネルギー,ごみ発電,発電効率,過熱器,ガスタービン

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.3, pp.205-217, 1995

原稿受付 1995.3.20

* (株)クボタ 技術開発研究所 副部長

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