【論  文】

準好気性廃棄物埋立地内浸出水集排水管への空気流入に関する研究

――単一管の場合――

金   英 圭*・松 藤 敏 彦*・東 條 安 匡*・田 中 信 寿*

【要 旨】 最近,準好気性埋立地に対して多くの研究が行われているが,準好気性埋立構造における浸出水集排水管近傍に好気性ゾーンが形成され,高い有機汚濁浄化能力が発揮されることを証明するためには管内への空気の流入を明らかにすることが重要である。そこで,本研究ではいくつかの仮定条件を基にして管内流速計算式を提案した。簡単な実験装置によりその式の有効性を検証した後,実際に近い埋立地条件で計算を行い,影響因子について検討した。その結果,埋立地内浸出水集排水管の両端を大気に開放すると埋立地の内外に温度差があると,また埋立地表面に風が吹くと,約1m/s程度の流速で空気が管の浸出水出口部から流れ込むことが分かった。管内への空気流速に大きな影響をもつ管路条件は,地表面風速,管出入口高度差,内外温度差である。一方,管路の摩擦抵抗による流速減と,流速減による温度上昇がトレードオフの関係にあるので管径と管路の長さはほとんど影響しない。さらに,管内に砕石充填物などがあると管内流速は極端に小さくなる。

キーワード: 廃棄物埋立地,準好気性,浸出水集排水管,圧力損失係数

廃棄物学会論文誌,Vol. 6, No.4, pp.129-138, 1995

原稿受付 1994.6.20

* 北海道大学工学部 教授

連絡先:〒060 札幌市北区北13条西8丁目

北海道大学工学部衛生工学科 田中 信寿