【特 集 :埋立管理とバイオモニタリング】

海面埋立廃棄物処分場内高率酸化池におけるミクロフローラ

河 合 啓 一*

【要 旨】 大阪市北港海面埋立廃棄物処分場内に設けられた高率酸化池における微生物による浸出余水の浄化機構を明らかにするため,主に好気性の有機栄養型の細菌について,その機能解析を行うとともに,ミクロフローラの変遷など微生物生態学的検討を行った。高率酸化池には食中毒や化膿性疾患等の原因菌は検出しなかった。生息細菌はブドウ糖非発酵型で尿素分解活性を持たず,低分子の有機酸や無機態窒素を利用する菌群が多数を占めた。安定化池からの浸出余水の移動量が少ないか,移動していない期間における優占菌種としてAlcaligenes属,Micrococcus属,Moraxella属,Aeromonas属,Acinetobacter属の細菌群が認められた。また,浸出余水の大量流入に伴い全菌数の増加と優占菌種としてFlavobacterium属とParacoccus属が新たに加わりその多様化が見られた。この原因として安定化池に生息している細菌群の流入と高率酸化池の水質の変化が考えられた。また,分離した優占細菌(Micrococcus sp., Paracoccus sp., Acinetobacter sp., Aerococcus sp., Moraxella sp. など)の浸出余水浄化能は同一菌種でも菌株により差が見られた。

キーワード: ミクロフローラ,高率酸化池,浸出余水,水海面埋立廃棄物処分場,優占菌種

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.4, pp.303-309, 1995

原稿受付 1995.6.9

* 岐阜大学農学部生物資源利用学科 教授

(併)岐阜大学遺伝子実験施設長

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