【論  文】

最終処分場計画のためのファジィ総合評価方法

小 泉   明*・稲 員 とよの*・藤 田 哲 弥*・古 市   徹**

【要 旨】 本論文では,最終処分場の立地選定に関して,計画代替案を様々な要因を考慮して総合的に評価することができる方法を提案する。この評価に際して,最終処分場の評価要因には,要因自身のあいまい性や将来に対する不確実性があり,そこにファジィ理論の考え方を用いて評価することを考えた。提案した評価方法では,最終処分場において問題となる様々な要因を抽出し,これらの関係をISM手法により構造化する。そして,構造化図の基本事象に対して,望ましさを表す得点をファジィ理論によるメンバーシップ関数として与え,構造化図の各事象に付加したウエイトをもとに,各最終処分場に対する評価値を計算する。この結果から,最終処分場計画代替案のファジィ総合評価を行う。さらに,提案した評価方法を用いたケーススタディを行い,その有効性について検討した結果,現実の最終処分場の評価と適合しており,この方法が計画代替案の比較に適用できるものであることを示した。

キーワード: 最終処分場,総合評価,不確実性,ファジィ理論,メンバーシップ関数

廃棄物学会論文誌,Vol. 6, No.5, pp.171-179, 1995

原稿受付 1995.2.24

* 東京都立大学工学部土木工学科衛生工学講座

** 大阪府立大学工学部環境工学講座

連絡先:〒192-03 八王子市南大沢1-1

東京都立大学工学部土木工学科 小泉 明