【総  説】

容器・包装廃棄物

高 月   紘*

【要 旨】 日本における容器包装廃棄物の実態について概説した。すなわち,京都市の家庭ごみ細組成調査をもとに,一般家庭から排出される容器・包装廃棄物を品物別,材質別に各々重量比,容積比で整理し,家庭ごみ中容器・包装材が,容積比で60%を占めることを明らかにした。さらに,生産統計量などをもとにわが国の容器包装材の消費動向を調査し,飲料容器が年間約550億本(1993)トレイが年間約500億枚(1994)も消費されていることを明らかにした。一方,各自治体で,これらを処理するのに飲料缶で1本当り約4円,ペットボトルで約9円も処理コストがかかっていること,また,自治体経由のリサイクル率は飲料缶で約20%,ガラスびんで17%程度であることを算出した。そして,最後に容器・包装廃棄物の対策は,リサイクルも大切であるが,容器・包装材そのものの使用削減や再使用がより大切であることを強調した。

キーワード: 容器包装,家庭ごみ,リサイクル,処理コスト,飲料容器

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.5, pp.402-408, 1995

原稿受付 1995.8.22

* 京都大学環境保全センター教授

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